連載◎第21回手前味噌。2010年02月23日更新

手前味噌。

それまでの小さな貸菜園から、自宅の隣の180坪ほどの土地に畑を移して、去年で3年目。
毎年、試行錯誤しながら、色々な野菜の栽培を試しています。
この場所は、標高1100mの高地。夏でも夜には冷え込んで寒暖の差が大きいことや、大昔の浅間山の噴火による火山灰が多く含まれている土壌であることなど、様々な制約があり、平地のようになんでも野菜が育つという環境ではありません。

そんななかで、失敗してきた作付けもたくさんあるのですが、これまでのところこの土地と相性が良さそうなのが、芋類と豆類。
芋は、毎年じゃがいもを多めに植え付けて、夏以降、お店(カフェ)でハンバーガーに添えて出すポテトフライに使用するのですが、ほくほくして味が濃く、我ながら上出来ではないかと思っています。
もうひとつ、豆といえば、古くからこの地域に伝わる特産品の花豆があります。ピンクや紫色が混ざった、空豆ほどの大きめの豆で、標高の高い涼しい場所でないと育たないことから、軽井沢から草津にかけてのこの辺りでよく栽培されています。
ただし、大きな支柱が必要だったり、夏前から秋の終わりまで一つの畑がずっと独占され、さらには収穫後の乾燥や脱穀に手間がかかることから、個人で手を出すのはちょっと大変。
ならば、と3年前から試してみたのが大豆です。

大豆

大豆は、特別な肥料もいらず、ある程度のスペースで自家用には十分な量も収穫できるので、素人農民にはぴったり。一年目には黒大豆と枝豆用の品種を、二年目以降は通常の大豆を育てて、秋、畑でカラカラになるまで待ってから、大きな収穫袋10袋分くらいを刈り取ります。
しかし、豆類の大変なのはここから。枝からさやを外し、さやを一つ一つ開いて豆を剥く。本業の農家さんなら専用の脱穀機もあるでしょうが、私たちは当然、手作業。

手作業

さらに、取り出した豆から不良品を取り除く選別作業。ここでは、手作りの選別マシン(空き箱のフタの一角に穴を開けたもの!)を使って、良い豆と悪い豆をふるいにかけていきます。
刈り入れ後は、しばらく来る日も来る日もこの地道な作業が続くのです。(飽きっぽい私は大概早々とギブアップ。作業の8割は相方(主人)が暇を見つけて黙々進めていました...。)
何事もそうですが、豆づくりの苦労というものを、育てて初めて知りました。(国内の大豆農家が減っているという問題についても、以前よりは身近にその重要性を感じられるようになったり...。)

そうこうしながら、苦労の末、手元に揃った丸々かわいらしい大豆たち、その量25kgほど。
冬になり、2月に入ってから、初めての自家製味噌づくりに挑戦しました。
東京近郊のマンション暮らしで田舎と呼べる場所もなかった私には、味噌を自分で作ること自体が初体験。相方が、子どもの頃、おばあちゃんの味噌づくりを手伝った記憶をたよりに、いざ仕込み開始!

手作業

使う大豆は3kg、味噌としては12kg分くらいが出来上がる換算です。
一晩水に浸けて戻しておいた大豆は大きく膨らんで、それらを3つの大鍋に分けて煮ます。
柔らかくなったら大豆をつぶしますが、ここが思った以上に辛い! 小さなフードプロセッサーとポテトマッシャーをフル回転させて、熱いうちに手早くつぶしていきます。(この頃、同時に容器を消毒し、種味噌の半量を薄く敷いておきます。)

米麹と塩を混ぜ合わせたなかに、つぶした大豆と残りの種味噌を加えて、がしがしよく混ぜ合わせます。
柔らかくなるまで混ざったら、おだんごのように味噌玉を作ってから、容器に隙間なく詰めます。おむすびを握るみたいで楽しい!
均一に詰めたら最後に表面をラップで覆い、重石を載せて(抗菌性が高まるということで、塩の入った袋を使いました)、フタをして新聞紙でくるんで、「よーく発酵しますように」とお祈りをして、仕込みは完成。あとは、最低でも半年、できれば一年ほど寝かせて待つばかり。

熟成モノは、この「待つ」時間が、結果がすぐに求められる現代の流れと逆行していて、なんともいえずイイですね。
そのためか、近頃、若い方でも家庭で味噌を作る人が増えていると聞きますが、たしかに特別な道具はいらないし、思ったほど難しくもない。人が行なう部分はほんの少しで、あとは自然のパワーに委ねるだけ。
もしうまく出来上がったら、まずは味噌キュウリでストレートに味わって、寒くなってきたら豚汁に味噌煮込み鍋に田楽でしょう、それから、それから...。
早くも「手前味噌」全開で、妄想が広がりつつあります!あぁ、楽しみだなぁ。

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