連載◎第16回火のある暮らし、再び。2009年11月17日更新
春から7ヶ月間続いた週末カフェも11月末でクローズ。
今年も無事に終えられたこと、たくさんの新たな出会いがあったことを振り返っては、ホッとする気持ちと少し淋しいような想いが入り交じった心境の今日この頃。
お店が一段落し、本格的な冬が始まる前に、以前から計画していた母との旅行に出かけてきました。行き先は九州。修学旅行も四国山陰どまりだった私にとって、初の九州上陸です。

長崎では、街のあちらこちらに残る西欧や中国の文化の足跡を辿りながら、石畳の坂道を上ったり下ったり。丘の上から眺めた赤煉瓦の港町をさらに赤く染める夕陽がきれいでした。
そこからレンタカーで雲仙・島原を抜け、フェリーで熊本に渡り、阿蘇へ。世界最大級といわれるカルデラ地形。数万年前の噴火でできた外輪山や台地のかたちが今でもはっきりわかって、どこまでも続く枯れ草の草原や山並みなど雄大な風景に圧倒されました。
湯の国・大分の温泉郷に立ち寄っては、いくつもの温泉をはしご。訪ねた先々で、海の幸・山の幸をたらふく頂きつつ、留守番組の男衆(父と夫)には申し訳ないと思いながらも、女二人かしましく(!)のんびりリラックスな5日間となりました。

旅の「効能」には、これまで知らなかった風景やモノとの出会い、美味しい食事にその土地ならではのお買い物、日常を離れたところで心と体をリフレッシュ.....などさまざまありますが、近ごろ個人的に強く感じるのが「自分の立つ場所を外から再確認する」ということ。
旅先で感動的な景色やおもてなしに出会ったとき、これが軽井沢だったら、信州だったら、同じような感動を旅する人に感じてもらえているだろうか、という視点でモノを観るようになりました。
今は各地で「地域」が元気です。今回の旅のなかでも、古い言葉で言えば”村おこし"、現代風に言うなら"地域力再生プロジェクト”とでも呼ばれるような活動や、その産物である地域ブランド商品などを多く見かけました。行政が関わっているもの、純粋に住民有志によるものなどそれぞれですが、多様な自然風土や独自の発展を続けてきた文化・歴史をもつ九州は、特にそうした動きが活発なのかもしれません。
例えば、ここ数年マスコミにもよく取り上げられる「黒川温泉」。谷あいの小さな温泉郷ですが、各旅館が結託して温泉手形などを用意して日帰り客なども呼び込み、今では湯布院をしのぐほどの人気温泉地になっています。
実際に訪ねてきましたが、ぐるりと散策するのにちょうどよいサイズで、余計な広告看板などを排除し、昔ながらの鄙びた情緒を残しているところも、旅気分をうまく盛り上げてくれます。
でも、この黒川温泉も、野沢温泉の外湯めぐりから発想を得たことが再生のきっかけになったのだとか!
そう、我らが信州も、温泉の数・質ともに、九州に退けはとりません。温泉だけでなく、雄大な自然、森や大地が育む美味しい食、伝統文化など、声を大にして伝えたい地域の魅力がもりだくさん!
張り合うわけではありませんが、旅先では急に愛郷心が芽生えてしまうのが不思議です。(私の場合、ここ軽井沢は故郷でもないのですが、暮らす時間が長くなるにつれそんな想いが強まってきているようです。)

いつも当たり前に見えている景色も、場所を変えて離れたところから見直してみると、新しい発見がまだまだある.....。
「今いるこの場所で自分ができることはなんだろう?」ということを考えさせられる良い機会となった旅でした。
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著者紹介
藤野麻子
フリーライター&週末カフェ店主。

浅間山の麓、北軽井沢に暮らしながら、週末のみ自宅にてカフェ「本とコーヒー麦小舎」をオープン。
長野を中心に取材・執筆をちょこちょこと。麦小舎発リトルプレス「Forest & me.」の企画・編集に携わる。
www.mugikoya.com























