連載◎第9回樹上でお茶を。2009年7月28日更新

森の樹のデッキ

 「庭にツリーハウスを作りたいね。」 山小屋暮らしを始めた当初から、相方(夫)と夢想していたこと。 トム・ソーヤーの友達ハックルベリー・フィンが一人で暮らしていたような、映画「スタンドバイミー」で少年たちが死体を探しに行く計画をたてていたような、絵本「クマのプーさん」の仲間たちが看板を出して住んでいたような、そんな樹上の家。「ツリーハウス」という言葉の持つ響きには、大人になっても忘れられない「冒険」や「秘密」といった甘酸っぱい高揚感が隠されているようです。

昨秋、夏のカフェ営業がひと段落したところで計画開始。
ツリー「ハウス」にしてしまうと、小さな小屋1軒建てるくらいの予算がかかるので、まずは手始めに練習を兼ねてツリー「デッキ」にすることに。

庭の南側のはずれ。畑と接するこの一画は、雑木林が途切れて、浅間山の見晴らしもよい。そこに立っていた高さ5mくらいの落葉樹をホストツリーに選びました。
大木ではなく1本では支えきれないので、他の場所で伐採した2本の木を支柱にして、コンクリートでしっかり基礎を固定トライアングル状の3本の木に水平に根太を打つ。ここが一番難しい。家を作るのと違って、柱となる木は角材ではなく丸かったり斜め だったり。

生きている木をなるべく傷めないように、釘ではなくネジ式のスクリューボルトを使う。ボルトを差す際、下穴は開けるけれど、木の芯までは貫かないので、表面はやがて甦生し元に戻るのだそう。ボルトとペアで使う金具は、専用のものが手に入らなかったので既成のものを試行錯誤し組み合わせる。 すじかいで補強したら、床板張り。この日は友人たちも駆けつけてくれて、ペンキを塗って一気に張り上げる。これでおおよそのカタチは完成。

ここまで進んだところで、山の家に冬が到来。雪に埋もれて作業は中断。 春が来ても慌ただしい日が続き、夏も目前になってようやく残りの作業に着手。手摺を渡して、ハシゴ階段をかけて……。 こうして、高さ3mくらい、広さ3畳ほどの「空中リビング」が完成!

デッキより

さっそくゴザとクッションを持ち込んで、ごろりと転がってみる。 青々と茂る葉がすぐそこで風に揺れていて、さらに高い樹々の梢も地面で見るよりだいぶ近いところにある。 鳥たちが、自分たちの領域に近づかれたことをあまり面白くなさそうに、わざとすれすれのところをかすめて飛んで行く。 隣の家の敷地から、我が家の「常連ノラ(猫)」がのしのし歩いてくるのも見える。向こうは誰にも気づかれてないと思っているから、ヤッホーと大きな声を出したら真ん丸な目で見上げて驚いていた!

デッキより

樹々に、空に、森全体にふわりと包まれているような安心感。
目を閉じてじっとしていると、だんだん自分自身の体重が消えて、自然のなかの一部になって浮かんでいるような感覚に……。地面からほんの数メートル浮いたことで得られるこの気持ちよさ。これってもしかして、大昔、私たちが木から木へと飛び移り、枝にしがみつきながら暮らしていた頃の記憶がDNAに微かに残っているってこと?!

そんな推測はさておき、身も心も伸び伸びほぐれる樹上の隠れ家。この夏は、ツリーデッキでのティータイムが一番のお気に入りの時間になりそうです。

この夏、山小屋に、念願だった「ツリーデッキ」が完成しました。 素人の作ったものゆえ、あちこち至らない点はありますが、 プロの棟梁の方が見たらどう思われるのでしょう。 ダイコク・中澤社長はじめスタッフの皆様、 一度出来映えを見に来てください(笑)!

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