連載◎第6回ななつの子。2009年6月12日更新
今年は春浅いうちから、森の鳥たちが活発でした。
雪も溶けきらないうちからツツピーツツピーと元気なのはシジュウカラ。
バードフィーダーに置いたヒマワリの種などに、4〜5羽がかわるがわる忙しくやってきます。
4月の初め、まだ葉もない林のどこからか「ホーホケキョ」という澄んだウグイスの声が聞こえたら、春はそろそろの合図。
やがて5月、とぼけたような「カッコウ、カッコウ」が響いてくると、ようやく高原の遅い春が本格的に始まります。
(ちなみに私たちの住む村では、カッコウの鳴き声が農作業を始めるサイン。
暖かい日が続いても、カッコウが鳴くまでは雪や霜の恐れもあるため、みな今か今かと耳をすませて使者の到来を待つのです。)
私が特に好きなのは、「キョロンキョロン チリリ」と可愛らしく鳴く、黄色いお腹の「アカハラ」。
毎年4月半ばにやってきては、地面の上のエサを探してあたりを歩き回るのを見かけます。
あまり俊敏ではないのか、近づいても飛び去らず、跳ねるようにあっちへトコトコ、こっちへトコトコ。しばらく追いかけっこをして遊びます。
春から初夏へと向かうこの時期は、繁殖期で親鳥たちは大忙し。
今年は、家の外壁の高いところに相方(夫)が作った巣箱に、しっかり1組のシジュウカラのペアが目をつけて、ヒナが孵りました。
じっと観察していると、親鳥は一日中ヒナに餌を運ぶため、飛び回っています。
1羽が巣箱の入口越しに餌を与えている間、もう1 羽は近くの枝で周囲を警戒。
次に見張り役を交替し、無事に2羽とも餌を運ぶと、休む暇もなく「やれやれ」とばかりに揃って飛び立って行く。その後ろ姿は微笑ましくもあり涙ぐましくもあり。

もう1組、この春、庭の隅の大きなカラマツの木に「新居」を設けた家族がいます。
ずいぶんと大きな巣を上手に作ったものだと感心していたら、その主はカラスだとわかりちょっとガッカリ。
せっかく森に住んでいるのに、都会でも見られるカラスではあんまり嬉しくないなぁ。鳴き声だって可愛くないし。
そんな招かれざる一家にも数週間前にヒナが生まれ、こちらの親たちも奮闘中。
親のいない間は、巣はしーんと静まり返っていますが、餌を持って帰ってきた途端に「グワグワ」と子カラスたちの大合唱。
(ほんとに七つの子がいたかもしれません。)
子供の頃からすでに愛らしいとは言えない鳴き声ですが、精一杯アピールしている様は、それはそれで憎めないもんだな......と、つかず離れずで暮らしていたある日、事件が起きたのです。
庭をよちよちと歩く黒い影。
1羽の子カラスがあやまって巣から落っこちてしまった様子。まだ飛ぶこともできず、無防備にそこらじゅうをウロウロ。
怪我などしてないかしらと近づいてみようとした瞬間、頭の上からドサドサという音とともに大きな木の枝が落ちて来た。
何事かと思ったら、頭上には(たぶん)お母さんカラスがいて、子供に近づかせないようにと狙い定めて落としてきたのです。
その後も、私たちの行く先をずっと尾いてきて、枝やら松ぼっくりやらの集中投下。これには参りました。
「なにもアナタの子供を穫って食おうなんて思ってないですよ〜」と言いながら、這々の体で逃げ回る私たち。
「大家」に対して、ひどい仕打ちです。
鳥の世界の親子愛は想像以上に深く...。
感心する一方で、わが身の安全のためにも、チビッコくんが一日も早く飛び立ってくれることを願う毎日です。

ワタクシゴトですが数日前に弟が結婚式を挙げました。
パーティーの最後、新郎の父として挨拶の場にたったうちの父親。
僕が何かを与えたのではなく、逆に息子から楽しい時間をたくさん与えてもらって感謝している」と一言。
新たな旅立ちに際して人生訓じみたことは言わず、率直な想いを伝えた言葉に、我が父ながらイイコトを言うなと嬉しくなりました。
今回はそんな「親子愛」にまつわる森でのお話でした。
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著者紹介
藤野麻子
フリーライター&週末カフェ店主。

浅間山の麓、北軽井沢に暮らしながら、週末のみ自宅にてカフェ「本とコーヒー麦小舎」をオープン。
長野を中心に取材・執筆をちょこちょこと。麦小舎発リトルプレス「Forest & me.」の企画・編集に携わる。
www.mugikoya.com























